東京教区東京2組
東京2組門徒会主催「報恩講」2006を厳修

【'06年11月20日掲載】

11月14日(火)、林光寺(台東区)において、東京2組門徒会主催「報恩講」が厳修されました。

平日開催ということで、仕事を持っているご門徒はなかなか参加できませんが、それでも門徒会を中心としたご門徒、住職、寺族、坊守が参詣し、林光寺は満堂状態でした。

今年の報恩講の法話は蓮光寺住職、感話の門徒代表は河村和也さんという蓮光寺ペアでした(僧侶代表は佐藤天章さん〔正行寺〕)。

法話内容を一口に言うと、私にとってなぜ親鸞聖人なのかという問いからはじまり、「三帰依」と「如来大悲」(恩徳讃)との関係を考えながら、御遠忌テーマ「いのちがあなたを生きている」が何を呼びかけているのかをいっしょに考えました。法話はもちろん大切ですが、今回は感話にスポットをあてたいと思います。なぜなら、嘘のない感話は参詣者を本当に引き付けるからです。

では河村さんの感話をどうぞ。

河村和也さん(法名:釋和誠)の感話

感話をする河村さん

私は蓮光寺の門徒で河村和也と申します。今日はこのような場でお話しさせていただくことになり緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。

私は、今でこそ報恩講めぐりなどと決め込み、このように肩衣をかけて蓮光寺以外にもあちこちのお寺におじゃましておりますが、5年前までは報恩講の「ほ」の字も知らないような状態でした。今日は、そんな私が真宗とどのようにして出遇ったかを振り返ってお話しすることで感話に代えさせていただきたいと思います。

ちょうど5年前の11月、父が長患いの末に69歳で亡くなりました。私の父は6男6女の末から3番目で、本家を継ぐといった責任はなかったのですが、お盆やお彼岸の本家のお墓参りには妙に熱心で、兄弟の誰よりも早くお参りすることを決めごととしているようなところがありました。お内仏も、ある時思い立ってあつらえておりまして、それなりにおつとめしておりました。それなりにと申しますのは、うちには勤行本もありませんでしたし、お念仏を声に出したこともなくお念仏の声を聞いたこともなかったのです。

法話をする蓮光寺住職

今思えば、批判されてしかるべき門徒の有りようだったのですが、そんな父が亡くなったとき、あれだけお墓とお内仏を大事にした人なのだからきちんとしてあげたいという、これまた批判されてもしかたのない思いが私たちの家族を支配してしまいまして、なんとかお話を聞かせてくださるお寺を探し出せとの命を受けたのが私で、インターネットを駆使し、方々のお寺のウェブサイトを読みあさり、その末にご縁をいただいたのが蓮光寺です。そのときは、他のお寺の大きな墓地の広告が入ったページも、お堂の立派な写真ばかり写したページも、不思議と目に入らず、蓮光寺のサイトに吸い付けられていくような感じでした。

父が亡くなりましたのは11月3日で、その日は毎年、蓮光寺の報恩講の晨朝と日中が勤まります。そんなこととはつゆ知らず、お忙しいさなかに電話をかけ、それを受けていただき、翌日、兄夫婦と住職を訪ねました。そのとき、「お父さんは、無駄に命を無くされたのではありませんよ。誰にも代わることのできないご自分の命を懸命に生き、死ぬとはどういうことか、生きるとはどういうことかを教えてくださろうとしているのですよ。ご自分の命とひきかえに、私たちに一生懸命に生きよと呼びかけてくださっているのですよ」と、そんなことを言われ、ぼろぼろと涙が出てきて止まらなかったことを覚えています。

父のためにと思って、父に何かしてやろうと思って動き出したのに、今、反対に自分が励まされている。そんな不思議な気持ちに包まれた瞬間、それが私と真宗との出遇いだったのかもしれません。

今年、蓮光寺の報恩講の晨朝をお勤めしているとき、ふと5年前の同じ朝のことを思いました。5年前の今、父は病の床にはいたけれど、まだ生きていたんだな、でも、日中のお勤めも終わりお酒などいただいている頃には、もう命も尽きていたんだなと考えたとき、まさに「朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身」ということが思われてなりませんでした。この「白骨の御文」も、葬儀の際にはじめてうかがったときは、その内容にぎょっとするような思いがしました。けれど、今ではまさに本当のことを言い当てていることばなのだと感じています。今、思い返しますと、正信偈やご和讃や御文を無意識のうちに聞き取ろうとしていたのだと思います。とは言っても、「万歳の人身の」というところで、ボケと突っ込みの「漫才」を思い浮かべたり、大根やゴボウと並べて「人参」のことを考えていたのですからかなりいい加減なものではありますが。

門徒の家に生まれたというのにお念仏を称えたこともなくお勤めをしたこともなく聞法したこともなく、30代の半ばまで来てしまった私でしたが、真宗の教えに少し触れてみたら、それまで知らずにいたことが悔やまれ、何とももったいなくて、とにかく気になってしかたがなくなってしまったのです。それで、そのあとは一気になだれ込むようにここまで参りました。少しずつ聞法会などに顔を出させていただくうちに蓮光寺の青壮年聞法会である門徒倶楽部に加えていただき、釋和誠という法名もいただきました。

まだまだ、あたまでっかちになるほども法に触れていない私ですが、これからもみなさんとご一緒に聞法の歩みを進めて参りたいと思います。ありがとうございました。
 

日程
2:00 開会
勤行  導師:久萬壽誓心氏(林光寺副住職)
   正信偈 草四句目下(「門徒報恩講勤行集」p.31)
   念仏讃 淘三 三朝浄土ノ大師等 次第三首(p.79)
   御俗姓御文拝読
2:30 感話
   河村和也氏(蓮光寺)
   佐藤天章氏(正行寺)
2:45 休憩
2:55 法話  本多雅人氏(蓮光寺住職)
   「親鸞聖人からのメッセージ 『今、いのちがあなたを生きている』」
4:30 閉会挨拶
   木坂昌滋門徒会会長(林光寺)
   會谷順雄組長(源信寺住職)
恩徳讃