東日本大震災チャリティ「楊興新 胡弓コンサート」in 蓮光寺 義援金1,046,039円集まる!

【'11年4月7日掲載】

主催: ヤン企画(株)、真宗大谷派蓮光寺
協賛: コミュニティ21
友情出演: 細井豊さん

被災者支援とともに、「存在の尊さ」を痛感した2時間

蓮光寺のご門徒でもある胡弓演奏の第一人者の[ヤン]興新[シンシン]さんから「今できる支援を!」と蓮光寺住職にはたらきかけがあったのがお彼岸のお中日。「この悲しみを分かち合い、今すぐ支援を形に表そう」とセンチメンタルシティロマンスの細井豊さんも呼応し友情出演してくださった「東日本大震災チャリティコンサート」は2週間という短い準備期間に関わらず、ご門徒をはじめとする170名あまりの参加者で、本堂は埋め尽くされました。

河村和也蓮光寺総代の司会のもとで2時に開会。まず蓮光寺住職が挨拶。「準備期間がほとんどない状況で、このように多くの方々に集まっていただき心より御礼申し上げます。また、今日参加できなかった方々からもすでに多くの義援金をいただいておりまして、いかに被害甚大の大震災に対する関心が高いかを痛感しているところです。そして、集まられた皆さんは、単に苦しんでいる人を助けたいという人間愛に留まることなく、被災された人々の苦しみを自分のこととして受け止めてられているのではないかと感じました。

一瞬のうちに、愛する人が亡くなっていき、自分の家が潰され、自分の大切なものすべてが流されてしまう、そして故郷が壊滅していく──。これはとても受け止められるものではありません。それをどう乗り越えていくか、生老病死の身の事実を生きる私たちにとっては共通の課題であり、自然災害の恐ろしさもさることながら、同時に原発の問題に象徴されるように、経済優先主義がもたらしたもの、それを良しとして生きてきた私たち一人ひとりのあり方が問われているのです。被災者支援という緊急の問題に対して、今できることを形にしながら、大震災を通して問われてくる人間のあり方を深く見つめていかなければならないでしょう。

それにしても、被災された方々が、絶望でしかないなかで、なお生きようとする意欲、生きようとする願いをもって立ち上がっていく姿に、助けたいと思っている私たち自身がむしろ励まされている、救われているという反転がおこっていることを感じます。苦悩している姿に人間の存在の尊さを感じさせていただいています。生きて存在するだけで尊いことだという最も大切なことを現代は忘れてしまったのだと気づかされました。

仏教は苦悩する人間を見つめ、その人間に寄り添い、生きる意欲と智慧を与え続けてきました。どんなに悲しくてつらくとも立ち上がっていく意欲、勇気と智慧を誰もが求めているのではないでしょうか。お寺でコンサートを行う意義もそこにあるのではないでしょうか。大震災による代償はあまりにも大きいですが、この大震災から問われていることを皆さんとともに耳を傾け歩んでいく、そのことを深めていく機縁となるコンサートとしたいと思います。よろしくお願いいたします」とコンサート開催の願いを語りました。

コンサートは2部構成で行われました。「音楽を通して、皆で気持ちをひとつにして、被災された方々とともに生きていきましょう」との楊さんの力強い言葉をもってコンサートは始まりました。大震災がおこった2時46分には、1分間の黙祷。心の中で静かにお念仏を申しました。

楊さんの胡弓はさることながら、楊さんの胡弓と細井さんのシンセサイザー、ハーモニカのコラボレーションも実に見事で、楽しいスピーチを交えながら「競馬」、「さくら」、「日本海」、「上を向いて歩こう」などを演奏されました。

一部が終了し休憩時間に、コミュニティ21の代表である源隆寺の白川住職より現段階の義援金額が披露されました。「現在の義援金ですが、921,129円です。もうちょっとで100万円です。がんばりましょう!」と白川住職が言うと、会場は大きな拍手につつまれました。すると休憩時間を利用して、次々と参加者が義援金箱に義援金を納めてくださいました。

ボルテージが最高に達したなかで第2部がはじまり、「愛の賛歌」「黄砂」などを説得力ある演奏が披露されました。そして、アンコール曲は癌のため33歳で壮絶な死を遂げた娘の様にかわいがってきた由紀子さん(法名:釋尼慈愛)を想い作った曲「春を待つ」。「春を待つ」を聞いて由紀子さんは涙を流して喜び、短かったけれど深い尊い人生を完全燃焼されて還浄していったことを紹介し、演奏に入り、涙する方が目につきました。

どんな形にせよ、人は死を迎えます。しかし、有限であるけれど、生きて存在しているだけで尊い、何もたさない何も引かない存在の尊さを、被災された人たちに想いを馳せながら、一人ひとりが自分のこととして問われたコンサートでした。

コンサートの会費と義援金のすべてを被災地に送るコンサート。合計額は100万円を突破し、1,046,039円となりました。この一人ひとりの願いが結実した1,046,039円は真宗大谷派本山東本願寺(京都)を通じて、被災地に送らせていただきます。これからも終わりなき歩みを続けて生きましょう。皆様、ご協力ありがとうございました。

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