あなかしこ 第61号

あとがき

先日趣味であるレビューを観に行きました。その歴史は古く、東京では浅草を拠点に活動していたSKD(松竹歌劇団)などが有名でしたから懐かしく思われる方もいるのではないでしょうか▼レビューは、豪華な舞台セットやきらびやかな衣装に、心地よい歌と音楽、そして何より一糸乱れぬ群舞が見る者を魅了します。日常を離れ、しばし夢の世界に浸れる数々の舞台は、劇団員達の日々の努力によって成り立っていますが、その中にひとり、私がいつも目を奪われてしまう女性がいます▼彼女は才能があり経験豊富で人気もあるのですが、年に一度発表される劇団員の序列では、なぜかある後輩よりも下に位置付けられているのです。私ならば、全くもって何を基準に評価しているのか、と会社を恨みたくなるところです。しかし、彼女は腐ることなく、ただひたすらに自分の役割をこなします。自分よりも上にランク付けられている後輩の後ろで笑顔で踊ります。目立たない役を懸命に演じ舞台を支えます。出た結果を嘆くよりも、今やれることに全力を注ぎます。舞台上での彼女のそんな姿は、私にはトップスターよりも光り輝いて見えてならないのです。(K)

Copyright © Renkoji Monto Club.