あなかしこ 「門徒倶楽部」機関紙

門徒随想

この4年来、毎年夏と冬に1回ぐらいずつお寺へうかがうばかり。にもかかわらず、いつもたくさんの方々から親切で心のこもったお言葉をおかけ頂いており、ここにまとめて感謝申し上げることを御容赦願います。皆さまもお聞き及びかと存じますが、大学院でずっと中国および江戸時代の仏教を専攻していたのが御縁となり、2002年9月から既に足かけ9年も台湾の食べ物と水とを口にし、台湾南部にある私立新設大学日本語学科の給与で口を糊しております。

大学院まで出てもなかなか教職の見つからない人文系の若手研究者たちにとって、台湾各地の大学の日本語学科は知られざる穴場でありました。ところが、数年来の不景気と、日本よりもすさまじい少子化のため、ほかならぬ僕の勤務先は数年をへずして廃校の憂き目に遭うものと見られております。財布を落としてもそのたびに無傷で戻ってくるし、大型犬の野良犬にもすぐ新しい複数の飼い主が見つかる素晴らしい学校なのですが、逆縁が重なり、こんにちの情況となりました。どうして僕や僕らがこうなってしまうのか…腹が立たないと言えばウソになりますが、そのつどいつの間にか、法話会での先生方のお話や、反省会での御院さんや皆さまの言葉がふっと脳裏に浮かびます。こういうときにこそ生きてくる御法義に出会えたことを何より喜んでおります。

台湾には「時に臨んで仏脚を抱(いだ)く」という言葉があります。この格言を文字通り実践できるのは嬉しくもあり、不思議でもあることです。この1年来、日本にもいくつかの寺院を擁する教団の僧侶養成学校で日本仏教の情況をお話ししたりしました。また、大学の近所にある著名な仏教書出版社の社長さんにもよくして頂いております。こうした人々が菜食を絶対善と見ているその思い込みの激しさには時として辟易させられます。また、彼らが出している絵本など、日本へ持ち込んだが最後、とんでもない職業差別文書と見なされることでしょう……こういう話題を語学力の限りを尽くして語り合える今現在を大切にしてゆきたく思います。どうぞ引き続き温かくお見守り願います。

野川博之(台湾台南・立徳大学応用日本語学科教員、42歳)

Index へ戻る ▲