あとがき

「つくる会」の『新しい歴史教科書』が中国・韓国から大変な批判を受け続けており、国内の多くの歴史学者からも批判の声があがっている。

「つくる会の描く人間像──それはかつての私たちですが──は55年前に、アジア諸国民に多大な惨害を与えて、破綻しているのであります」という声明を出した元日本兵の団体がいくつもあり、戦争経験者でも反対する人たちが大勢いることも知っておきたい。

今後は自虐であるか自虐でないかといったことを内輪だけで議論するのではなく、ドイツのように近隣諸国の歴史学者も交えて、グローバルに語り合っていくべきではないか。

人間は是とするそれぞれの立場にたつ。しかし立場に固執すると周りが見えなくなる。立場を超える眼をどこかで確保したい。

歴史は相対的なものであり、絶対的なものではない。それを押さえた上で、立場を超えて幅広い歴史理解をしていくことが求められているのではないだろうか。

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