あとがき

アフガニスタンのイスラム原理主義勢力であるタリバーン(最高指導者: モハマド・オマール師)によって、1500年の歴史をもつバーミヤン石窟の2体の大仏が破壊された。これでタリバーンは国際社会から孤立していくであろうし、イスラム諸国からも強い批判を受けることになった。

イスラム教の聖典であるコーランの中に、仏像破壊の命令など一つもない。原理主義的傾向が強まると、本来の宗教的精神が押しつぶされ蛮行を生む。人殺しすらできてしまう。そこには、人間の野心がひそんでいる。そして偏狭な教義解釈が生まれる。

独善性・狂信性をもった宗教は自分を見ることがない。自分の姿を学ぶ方向性を失った宗教はもはや宗教ではない。宗教とは「自己とは何か」を明らかにするものだからである。宗教の名を使った人間の飽くなき欲望に抗議したい。

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