◆あとがき◆

年末年始は、いわゆる2000年問題(コンピュータ誤作動の問題)で揺れに揺れた。結局大きな問題にはならなかったが、本格的なコンピュータ時代が到来したことを印象付けた。インターネットなど確かに便利になったが、いよいよ人の顔が見えない社会になった。人間は関係存在であるから、人と人とのふれあいが欠如すれば、自分も見失っていく。20世紀にはいってチャップリンは『モダンタイムス』で機械文明の恐ろしさを風刺したが、かえりみられることなく、人類は人間性喪失の方向へ進んでいった。コンピュータ文明はもっと強烈に人間性を崩壊させる威力をもっている。便利さだけを追求する時代は終わった。コンピュータ社会の功罪を見極めつつ、自己をじっくり見つめていくことが強く求められている。

蓮光寺では毎年元日7時に「修正会」が勤まる。年のはじめに、教えの前で自分を見つめる集いである。幸せ祈願とはまったく異質である。来年も勤まる。一人でも多くの人に参加していただきたいものである。