◆あとがき◆

茨城県東海村の核燃料加工施設で臨界被ばく事故がおこった。事故の経過が明らかになっていくなかで、会社のずさんさ、国の無責任さが浮き彫りにされた。「安全」という言葉が偽りであるばかりか、エネルギー政策優先のなかで、いかに「いのち」が軽んじられてきたか、怒りがこみあげてくる。

自由党の西村防衛政務次官が、雑誌の対談で核武装の必要性などに言及したため更迭された。核が抑止力というのは冷戦時代の思考であり、核は障害という国際社会の認識とは逆流している。西村氏ひとりの問題ではなく、保守系政治家の多くが本音として核が必要と思っているのではないかと考えると恐ろしくなる。

パキスタンに軍事政権が成立したことにより、インドとの関係が緊迫している。両国は核を保有している。核戦争の危機は消えない。

人間は、どこまで「流転」を続けるのだろうか。そういう人間のあり方そのものが闇であることに光があたらなければ、悲劇はくり返されていく。