◆あとがき◆

先月東京の杉並区で綿あめの割りばしがのどに刺さり、幼児が死亡する事故が起きた。司法解剖の結果、脳内から長さ 7.6 センチの割りばしの切れ端が見つかった。遺族は「病院がきちんと検査をしてくれれば──」と、改めて悔恨の言葉をくり返した。医者は社会に対して常に重い責任を背負っている。

さて、僧侶の責任とは何か。それは常に求道し、教えを一人でも多くの方々に伝えることである。葬儀も法事もこの上にあることは言うまでもない。ところが、あまりにそのことが問われなくなってしまったのではないだろうか。それは社会から期待されていないからだとすると大問題である。オウムの青年が「寺は単なる風景にすぎない」と言ったいみを痛みをもって受け止めたい。