◆あとがき◆

ユーゴ空爆が長期化している。この地域は歴史的に複雑な問題が絡んでいるので、戦争になると深刻である。アメリカは、問題が大きくならないためにユーゴを攻撃していると言っているが、本当にそうであろうか。確かに第1次世界大戦はこの地域からはじまった。しかしこの地域が勝手に問題をおこしたのではない。資本主義発展のため列強各国がこの地域に利害をもったことが戦争を導いたのだ。戦争は各国の利害によってもたらされる。だとすれば、アルバニア人救出のために本当にNATOが、アメリカが自らの血を流すだろうか。第1次大戦では、英独両国がクルップ社の武器を使って闘った。戦争をすれば誰かが得をするのである。そういう利害のもとで、正義の名において人間は数知れぬほど戦争をしてきた。昔も今も「世八法」が人間を動かしている。その人間の姿を映し出す鏡に出遇うことがなければ人類は永久に救われないのではないだろうか。